【司法書士は見た!】三兄弟の仁義なき遺産争族【子供同志のトラブル】
人生に寄り添う、かかりつけカウンセラー&司法書士 こたか真子です。

先日、お母様の3回忌を終えたので、
相続の手続きをしたいが、
兄弟の仲が悪いので、
どうしたものかと相談を受けました。
兄弟だから、わかり合えない。
兄弟だから、気に入らない。
ということは世の中に沢山あるように思います。
両親が健在の時は、
特に何の問題もなかった兄弟姉妹が、
両親亡きあと関係がギクシャクする、
疎遠になることは少なくありません。
今日は、司法書士の立場から
兄弟関係が悪化して
相続の話し合いが進まないとき、
どうしたらいいのか?
どんな手続きがあるのか?
相談事例をご紹介しながら、
書いていきます。
【遺産相続】法律では、どうなるの?
ご相談者様は、Aさん58歳(男性)です。
お母様は、2020年3月に亡くなった。
父は、2018年母より先に亡くなっている。
62歳の長男、
58歳のAさん次男
48歳の三男
の三人兄弟です。
遺産は、
・父名義のままの実家(土地と建物)
・母名義の預貯金と株式のみ。
相続人は、
長男、二男、三男。
それぞれに結婚していて、近隣に住んでいるとのことでした。
法律で決められた法定相続分は、兄弟で等分です。
三人兄弟であれば、
不動産も預貯金も株式も、
それぞれ3分の1ずつ共有になります。
ただ、全ての財産を3人で共有することになると、
後々の手続きが面倒ですし、
新たな相続が発生した場合
(例えば、長男が亡くなるなど)、
3分の1の持ち分をめぐって、
さらに権利関係者が増えて、
複雑になってしまいます。
なので、遺産について、誰が何をどのように取得するのか
相続人同士で話し合いをして分け方を決める=遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)をするのが一般的です。
Aさんの場合も、
三人兄弟で遺産分割の話し合いをして、
例えば、
不動産は長男、
預貯金は二男と三男、
株式は、
すべて売却して現金で3等分する、
もしくは、銘柄ごとに相続人を決める
など、
誰が?
何を?
どのようにして取得するのか?
遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)を 進める方向で動いていました。
3兄弟で意見対立!
それぞれの言い分
しかし Aさんの場合、問題になったのが
兄弟間で「話し合いが進まない」ことでした。
長男は、
「家を継ぐのは昔から長男と決まっている。自分がすべての財産を相続する権利がある。」
三男は、
「大学進学のあとも、両親から散々援助を受けてきたのだから、相続分はすでにもらっているはず」
と言っています。
三男は、
「兄貴は、結婚して家を出てから、両親の面倒は一切見てこなかった。
両親が健在の時も傍にいて、何かと面倒を見てきたのは自分だ。
母が病気になって入院した時も、長男は一度も見舞いにこなかったし、入院費も払っていない。
両親が住んでいた自宅は、
今は誰も住んでいないので、
遺産はすべて売却して現金に換えて、
売却にかかった費用を精算した
残りを兄弟で3等分するのが筋だ」
と、二人とも互いの意見を譲らない様子。
間に挟まれた二男のAさんは、
「三男が両親の面倒を見ていたのは、知っている。
だから、自分は自分の権利を強く主張するつもりはない。
なので、なるべく円満に解決したい。」 のだそうです。
長男と三男の意見が真っ向から対立して、お互いに譲る態度が見られない以上、
話合いで、遺産分割協議を進めることは難しそうです。
話し合いがつかない時は、どうしたらいいの?
相続人間で話し合いができないときは、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることができます。
調停の手続きは、
まずは、当事者の言い分を聞きながら、
調停員が法律に照らし合わせつつ、
お互いの主張の落としどころを探っていきます。
遺産分割に関する調停の調停員は、
地元の弁護士や司法書士など、
専門的な知識を持っている人が担当することが多いように思います。 (地方によっては、バラつきがあるかもしれません)
調停手続きは、1ヵ月に1回程度(申立てた裁判所によりますが)、
話合いの期日が設けられ、
それぞれ指定された時間に
裁判所に出向きます。
話し合いが成立するまで、
だいたい半年から1年、
中には、2年、3年と長引くケースもあります。
当事者間でまとまらなかった話が、